2014年12月26日金曜日

「自然」について②

マーケティングとイノベーション。

「ドラッカーの伝道師」と呼ばれているドラッカー活用のスペシャリスト、
藤屋伸二先生が、「創客塾」の中で繰り返し説いているキーワード。

これらについて、最新の著書の中でこのように定義している。

社会や市場の状況を確認し、顧客ニーズを知り、競争相手の状況を知り、それに対応する仕組みがマーケティングです。そのマーケティングで知りえた情報から、最適な新しい商品やサービス、効率的な仕組みをつくり出すのがイノベーションです。
『ドラッカーの黒字化戦略』(62ページ)

まずは自らを取り囲むものを知ること。

今年勉強させて頂いた中で再認識したのは、まだまだ自社の内部から物を考え、
お客様についても、ノンカスタマーについても、競争相手についても、
ありのままを知ろうとしていなかったのではないかということだ。

誰かが買いたいものを売るのはでなく、
自分が売りたいものを売っているのではないか。
そんな自問が常に頭にあった。

さらに、自社のスタッフの幸せを祈りながら、
スタッフが本当に何を望んでいるかを知らずに、
自分が考える理想を押し付けていなかったか。
そんなことも頭にあった。

つまり、この一年で思い知ったのは、人のことを知らないということだ。

見ているつもりで見ていないし、聞いているつもりで聞いていないし、
思っているつもりで思っていないのではないか。
ありのままでなく自分というフィルターを通してみていたのではないか。

環境適応こそ生きていくための条件で、
そのためには環境を観なければならない。

自分を取り囲む万物が自然なら、人も自然だ。
つまり、自ずから然り。

にもかかわらず、自然を克服しようとしていなかっただろうか。
万物が自然だと思うと、色々なことが見えてくる。
さらに、自然と自分が一体に思えてくる。

来年も自然とのコラボレーションを通じて、
お互いに良い環境を作っていきたい。

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今年一年、大変お世話になりました。
来年も宜しくお願い申し上げます。

年末年始も書くかもしれませんが、
仕事が今日までなので、ご挨拶させて頂きます。

ありがとうございました。

2014年12月25日木曜日

「自然」について①

明日で今年の業務が終了になるので、
今日と明日で今年最後に書こうと思っていたことを書く。

それは、「自然」について。
たぶん今年で一番頭の中を占めていたテーマ。
(何を考えて生きているのでしょう。笑)

今年も多くの「自然災害」があった。
自然を克服し、その脅威から逃れるのが文明の歴史だったとしても、
完全に予知したりコントロールすることはできない。

近年では環境意識の高まりから、
克服から共存のように言われたりもする。

では、そもそも「自然」とは何なのだろう。

自然という言葉は「自ずから然り」と書く。
そう読むと、とても深い何かを感じたりしないだろうか。
この言葉を考えた人はすごいな、と感心してしまう。

Wikipediaを見て頂くだけでもわかるが、
決して「人の手の触れない地形や環境」というだけの意味ではないようだ。

どんな意味であれ、その「自ずから然り」の中に我々は存在する。
それだけは間違いないようだ。

<つづく>

2014年12月24日水曜日

体は正直

どこかに書いた気がするが、先日、高崎商工会議所さんの取材を受けた。
来月、会報「商工たかさき」のヘルシーという健康に関するコラムに載せて頂くことになっている。


内容は「合気道」について。

以前、商工会議所の担当の方と合気道の話をしたことを覚えていてくださり、
今回、ご依頼いただいた。このような機会を頂き、ありがとうございます。

先日、原稿のゲラが届いた。
当日は、合気道やら陽明学やらマインドマップやら色々な話が飛び交い、
これがどんな原稿になるのだろうと心配していたが、
シンプルにまとめて頂き、さすがのプロの技を見せて頂いた。

その中で、こんな話をした。

自分が合気道に入門させて頂いて最初にショックを受けたのは、
年下の女性に頭を下げて教わることに体が拒否反応を示したということだ。

自分の下手さを知られたくないという気持ちもあったと思う。

今は全くそういう所がないかと言われれば、ゼロではない。
お恥ずかしい話だけど。
でも、ゼロではないことは自覚しているし、
こうして書いても何とも思わなくなったから、まだいいと思っている。

以来、道場の敷居を跨ぎ、道着を着たら、
外界のことを捨てるように心がけている。

知らず知らず、「税理士」とか「先生」とか、
そういう名前=記号に縛られていたと、体で感じた瞬間だった。

この体が感じる違和感を無視すると、見たくない現実から目を反らすことになる。
今年の年末はご迷惑をおかけしたり、目を反らしたくなることが多かったが、
最後は笑って終われるよう、あと数日、心と体の声を聴きながら過ごしたい。

2014年12月22日月曜日

弱みは強みかもしれないし、脅威は機会かもしれない。

ドラッカーの話で、このようなものがある。

「コップに半分入っている」と「コップが半分空である」とは、量的には同じである。だが、意味はまったく違う。「半分入っている」から「半分空である」に認識を変えるとき、大きなイノベーションの機会が生まれる。

月に一回、「藤屋伸二の創客塾」という勉強会に通っている。
月替わりのテーマの解説があり、それに則った宿題が出て、
その次の会で発表し合うことになっている。

今回のお題は「マイナス要因をプラスに変える~新しい売上を上げるヒント」。

講義の中で、「その脅威はほんとうに脅威か」という話があり、
北風と太陽の話の続きという作り話があった。



題して、「北風のリターンマッチ」。
一戦目は上着を脱がせる勝負で太陽が勝ったが、リターンマッチは着せる勝負。

当然、北風の勝ち。

SWOT分析というものがある。
自社の内部的な強み(Strength)と弱み(Weekness)、
外部的な機会(Opportunity)と脅威(Threat)から企業戦略を考える。

先ほどの話のように、弱みが強みになる、
または脅威が機会になるフィールドがあるから、
弱みは強みでもあり、脅威は機会でもある。

ただ、自分が弱みや脅威と見ているだけ。

我々は一般的に脅威だと言われていることを盲目的に脅威だと思い込んでいるが、
人も脅威だと思っていればこそ、自社にとっては機会になる可能性があるはずだ。

自社内ではできていないと思っていても、
他と比べたら意外と評価されていることも多い。

自分で色を付けて、固定的に物事を見ていることが多い。

でも、逆に、自分だけにチャンスが来ていると思ったら、
勘違いということもあるから注意しよう…(笑)。

2014年12月19日金曜日

会津にて ~ 「八重の桜」、新島襄

今日は仕事で会津に来た。
実は、自分にとって、昨年来、会津は憧れの地だった。
















きっかけは、大河ドラマ『八重の桜』。
会津武士たちの真っ直ぐな生き様に心を動かされた。

戊辰戦争で大きな傷を負ったにもかかわらず、
明治時代に功績を残した人が多くいたことを知った。

彼らの精神的な土台を作った教育にも共感した。

しかし、このドラマで興味を持ったのは、会津に対してだけでない。
実は、群馬県に縁のある人物に強く惹かれた。

新島襄である。

ドラマの主人公、新島(旧姓山本)八重の夫だ。

彼の功績については、アメリカに渡り、帰国後はキリスト教の布教とともに、
教育者として同志社大学の立ち上げに人生を捧げたということくらいしか知らなかった。

彼に惹かれた理由は、彼が何を憂い、
どのような思いで学校設立に奔走し、
志半ばで殉じたかを知ったからだ。

襄が起案し、教え子であった徳富蘇峰が書いたとされる、
「同志社大学設立の旨意」は彼の志を現在に伝えてくれる。

以下、同志社大学HPより引用。

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「同志社大学設立の旨意」(抜粋)

…(同志社の)目的とする所は、独り普通の英学を教授するのみならず、其徳性を涵養し、其品行を高尚ならしめ、其精神を正大ならしめんことを勉め、独り技芸才能ある人物を教育するに止まらず、所謂る良心を手腕に運用するの人物を出さん事を勉めたりき。而して斯くの如き教育は、決して一方に偏したる智育にて達し得可き者に非ず。唯だ上帝を信じ、真理を愛し、人情を敦くする基督教主義の道徳に存することを信じ、基督教主義を以て徳育の基本と為せり…

…人民の手に拠って設立する大学の、実に大なる感化を国民に及ぼすことを信ず、其生徒の独自一己の気象を発揮し、自治自立の人民を養成するに至っては、是れ私立大学特性の長所たるを信ぜずんば非ず…

一国を維持するは、決して二、三英雄の力に非ず。実に一国を組織する教育あり、智識あり、品行ある人民の力に拠らざる可からず。是等の人民は一国の良心とも謂ふ可き人々なり。而して吾人は即ち此の一国の良心とも謂ふ可き人々を養成せんと欲す。吾人が目的とする所実に斯くの如し。
明治二十一年十一月
同志社大学発起人 新島 襄

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もしご興味を持って頂けたら、全文の現代語訳もあるので、ご覧いただきたい。
https://www.doshisha.ac.jp/attach/page/OFFICIAL-PAGE-JA-36/15351/file/dosh_set_gendaibun.pdf

その文章の中にもある通り、知識を学ぶだけでは十分でなく、
それを活用する品行と精神を養成することが大事だと述べ、
「一国の良心」ともいうべき人を育成することを目的としてる。

今も当時も、課題は同じなのだと思わされる。
考えてみれば、2500年前に書かれた『論語』にも、
今に通ずるものがあるのだから、人はそんなに変わっていないということか。

2014年12月18日木曜日

「知っている」ということ③

さて、昨日は、自分の中にある「高次の自我」(シュタイナー)
とも言うべき良知の存在、そして、その声に耳を傾けてそれを発揮すること、
すなわち、実践すること=「致良知」(良知を致す)の話をした。

それを踏まえて、「知行合一」という言葉について考えてみたい。

この言葉は一般的に「言行一致」と同義であると解釈されているが、
本当にそうなのだろうか、という話だ。

昨日の話の振り返りをしてみる。

布団に入った後に、やるべきことを思い出す。
さて、出てやった方がいいか、そのまま寝るか、葛藤がある。

という話だ。

もはや思うことと行うことが完全に分離している。

良知が発揮された状態であれば、
本当にやるべきなら同時に立ち上がっている。

この状態が「知行合一」である。

別の例えで考えてみる。
中国の古典、「孟子」にこんなエピソードがある。

「赤子がまさに井戸に落ちんとするのを見たならば、誰でも走って行って、これを救おうとする。
これは自分が危うきを救ったという名誉を得たという考えではない。
これを機会に赤子の父母と交際を求めようという考えでもない。
また他人から救わなかったことを非難されるのを心配してからでもない。
つまりその真心が発して救ったのである。」

この場合、「真心」が発された状態が「致良知」と言える。

そして、知ったと同時に間髪入れずに行っている、
知ることと行うことが合一して並進している。
この状態が、知行合一である。

言行一致との違いを感じて頂けただろうか。

ただ、実際は、名誉を得たいとか、交際を求めようとか、非難されたくないとか、
そういった「私欲」が動機で動くこともあるだろう。
その場合、知ると行うの間に「私欲」があり、分断され並進していない。

まずは自分の中を眺めてみて、
知ると行うの間の心の動きを感じると面白い。
結構、葛藤があるものだ。

もし、この葛藤が無くなっていったら、
悩みの多くが減っていく気がするのは、
私だけではないと思う。

さて、どうすればよいか。
ヒントになれば幸いだ。

2014年12月17日水曜日

「知っている」ということ②

「洞察力」や「直観力」という言葉を知ることと、
「洞察力」や「直観力」を身に付けるのは異なる、
という昨日の話の続き。

さて、それらを鍛えるには、どうしたら良いのかというところから。

少々話が変わるが、このような体験はないだろうか。
(以下、『イヤな仕事もニッコリやれる陽明学』130ページ以降を参考。)



布団に入って、さあ寝るか、と思ったら、

「あ、そういえば、明日の午前中、会社で会議があるけど、書類を用意していないな。
カバンに入れておけば安心なんだけど。」

と突然思いつく。

そうすると、次に、
「眠いから寝ちゃえ。明日の朝やればいいや」
という声と、
「今やらないで、明日忘れたらどうするんだ」
という声がして、板挟みになって葛藤が始まる。

このような天使と悪魔が頭の周りをグルグル回るような経験は誰にでもあるだろう。

さらに言えば、すぐにやって良かったということもあれば、
明日の朝やろうと思って忘れて大変なことになったということもあるだろう。
(当然、私もある。つい先日もあった。)

こうしたことは、思いつこうと思って思いついたのではなく、
体の内部から突如として湧き上がってくる。

陽明学では、この声の主を「良知」という。

そして、この良知の声に耳を傾けてそれを発揮すること、
すなわち、実践することを「致良知」(良知を致す)という。

ただ、先ほどの例のように、良知を発揮するには、
ちょっとした努力と工夫が必要なことも多い。

だから、心の中で「まあいいか」とか「めんどうだ」とかいう声が大きくなり、
いつの間にか良知の声を無視する癖がつく。そうすると、心が鈍る。

良知は鏡に例えられる。

発揮する努力と工夫を続けて習慣化すれば、映し出す力が増す。
だから、兆しを知ることができるということである。

いかがだろうか。

「洞察力」や「直観力」は外から得るものでなく、
すでに内にあるものが発揮されるものなのではないだろうか。

教育とはインプットだけかと思いがちだが、
我々の受けてきた教育の弊害だ。

実践と言うと、陽明学で有名なあの言葉も思い出される。
「知行合一」。
次回は、この言葉をめぐる誤った理解について、
「致良知」から考えてみる。

<つづく>

2014年12月16日火曜日

「知っている」ということ①

昨日、掃除のお話の中で、このようなことを書いた。

「私も知っていた。ただし、知識としては。」
今日はこれについて、もう少し書いてみたい。

中国の古典『易経』は、占いの本と思われがちだが、
時の専門書とも呼ばれ、「兆し」について書かれている。



その中に「よく易を修める者は占わず」、つまり、よく易を学んだならば、
占わなくても先々を知り、行動の出処進退を判断することができるという文章がある。

どの時代もリーダーには洞察力や直観力が必要とされる。
いわば兆しを知る力だ。変化の前には必ず兆しがある。

と、このような話は様々な本にも書いてあって、今更、私が書くことでもない。
きっとこれをお読みの方も、そんなことは知っていると思っただろう。

しかし、知識として知っているだけで、本当に「知っている」のだろうか。

色々なノウハウ本があるかもしれないが、
それを読んでも「経営者には洞察力や直観力は必要」という知識はつくが、
「洞察力」や「直観力」そのものを手に入れることはできないだろう。

では、どうしたら身に付くのか。さらに鍛えることができるのか。
ここに「心学」と呼ばれる学問が求められる所以がある。

<つづく>

2014年12月15日月曜日

そうじの力と陽明学の話

高崎市に株式会社そうじの力というユニークな会社がある。
「整理・整頓・清掃を通じて経営改革と人材育成を支援する」専門のコンサルティング会社だ。
同社HPより。)

先週の金曜日、同社の飯塚さんにご来社いただき、
トイレ掃除のデモンストレーションをして頂いた。



デモンストレーションと言っても、飯塚さんが掃除をするのではなく、
我々がご指導の下で、実際に掃除をする。

レクチャーから始まって、掃除の実践まで含めて2時間ほど。
あっという間だったが、目からうろこのことが多かった。


同社の支援には、以下のような特長があるということだ。
同社HPより。)
 
①現場主義
②自立した人材の育成をお手伝い
③社長への支援が第一
④社風を良くするのが目的
⑤楽しくやる!
 
ほんの2時間だけでも、これらの一部を体感させて頂いた。
 
掃除が社風を作るという話は、様々な経営の本に載っているから、
「そんなこと知っているよ。」と言う方は多いだろう。
 
私も知っていた。ただし、知識としては
 
しかし、本で知るのと実際に体験して知るのは大違いだ。
頭で分かっているというのは所詮この程度なのだと実感して、ちょっと笑えた。
 
ほんの2時間ほど一緒に掃除をしただけだが、
やる前と後では物の見え方が違うというのは、取り組んだスタッフ共通の意見だ。
 
自分でトイレ掃除をするとなると、各自、気づく範囲での掃除しかしない。
しかし、他の人と一緒に取り組むことで、自分一人で気付かないことが気付くようになるのだ。
 
しかも、徹底して掃除すると、トイレ以外の他の部分の汚れが気になりだす。
普段同じものを見ていても気づかなかったのに。
 
これが日常になれば、様々なことに気づくだろう。
しかし、習慣化しないと、いつの間にか元に戻ってしまう。
だから日々取り組むのだ。
 
こうした気づきは、陽明学の勉強に通ずる部分が多い。
 
日曜日には、高崎で毎月開催している「陽明学研究会 姚江の会・群馬」があった。
現在、陽明学のバイブルと言うべき『伝習録』を事前に読んで、感想文を書いて参加することになっている。
 
当日は、この文章を発表し合い、ディスカッションを行う。
 
今回の課題部分にこのような文章があった。
 
人は功夫につとめないと、いつの間にか自分はとっくにわかっているような気がして、学ぶしてもただ自分流にやっていけばよいと誰しも思ってしまうものだ。ところが実際は、私欲が日々に生じ、まるで地上の塵のように、一日掃わなければその分だけつもっていくということに、まるで気付いていない。しっかりと身を入れて功夫につとめたまえ。そうすれば、道には終極というものがなく、探究するほどにますます深くなるものだということがわかろう。いささかでも疑問があれば、とことんまでそれを究め、自己を明徹にしていかなければだめだ
 
(『伝習録』上巻65、溝口雄三訳)
 
心の中の塵も日々取り除く工夫をしないと積もってしまう。
 
所詮、見たいように物を見ているというのを、掃除を通じて感じさせて頂いた。
そうじの力様、ありがとうございました。

<追伸>
こうした話を書くと、自分は出来ているのかと問われるかもしれませんね。
正直申しまして、出来ておりません(笑)。
出来ていないと自覚しているから学ばせて頂いております。

2014年12月12日金曜日

フューチャーマッピング(全脳思考)と因果と縁起【経営支援セミナー2014スピンオフ】④

経営支援セミナー2014スピンオフ、最終回は第3部の話。

「実践!戦わない経営」と題して、ワークを織り込んだセミナーを行った。
そこで使ったのが、フューチャーマッピングという手法。

フューチャーマッピングとは、経営コンサルタントの神田昌典氏が開発した、
簡単に言えば、ストーリーの力を借りた課題達成法だ。

これまで「全脳思考」と称していたが、
世界にリリースされるに当たり改称された。

この手法は、このようなチャート用いる。

 
今回はこれを用いて、過去の再定義と自己紹介をしてみた。
(このツールがより効果を発揮するのは、未来を出現させる機能なので、これはまたの機会に。)

チャートの左端を0歳、右端を現在の年齢にして、
それを3で割った数字を間の縦軸に当てはめる。

僕で言ったら、現在44歳なので、おおよそ15歳、30歳といった刻みだ。

そして、チャートの右上から左下に向かって曲線をひく。
直線でないのがポイント。

なぜなら、人生は一直線では進まず、
必ずアップダウンがあるからだ。

そして、曲線の気になるポイントに、
その頃にあった出来事を当てはめていく。

自己紹介を考えると、現在の職業からはじまり、
今何に取り組んでいるとか、家族は何人とか、
そういった表面的な話になりやすい。

しかし、「この頃、何があったか。」とか「なんで下がったりしているんだろう。」などと、
チャートに質問してもらうと、ここから自分では思いつかないストーリーが紡がれる。

先日も書いた「コネクティング・ザ・ドッツ」(点と点をつなげる)だ。

過去の出来事は、単体では存在しているようで、
必ず、そこから何かが起こっている。
これは後になってみないと、再定義できない。
点と点が線になって、これがストーリーになる。

仏教の概念で、縁起というものがある。

その定義は「他との関係が縁となって生起すること」。
つまり、何かが起これば、そこから縁が生じているこということだ。

そして、これは意図せず起こる。















上の写真は、今回の講師の宮澤社長と僕の思い出だ。
小学校6年生の時のものだと思う。

それから今に至るまでに、当然、疎遠になった時期もある。

小学校5年の時、たまたま誕生日が近かったおかげで、
前と後ろの席に座った縁が、まさかこうした形になるとは、
当然ながら思っているはずもない。

そうした視点では、今回のセミナーは因果の「果」だが、
ここから何かが新たな縁が生起しているという意味では、
僕達や参加してくださった人にとって「因」だ。

今回のセミナーという点から、どのような曲線が生じて、
どんなことが起こるのか。

数年後にまた振り返ることを楽しみにしている。

最後になりますが、宮澤社長、ご参加いただいた皆様、
会場をお借りした積水ハウス高崎支店様、
懇親会場の美食材Lohas様、
そして、準備をしてくれたスタッフの皆に、
心より感謝申し上げます。

おかげで今回も良い「因」が作れたと思っています。

 
<追伸>
フューチャーマッピングについては、
神田氏の新著『ストーリー思考』が出たので、
ご興味がある方はお読みください。
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC%E6%80%9D%E8%80%83-%E3%80%8C%E3%83%95%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%80%8D%E3%81%A7%E9%9A%A0%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%89%8D%E8%83%BD%E3%81%8C%E7%9B%AE%E8%A6%9A%E3%82%81%E3%82%8B-%E7%A5%9E%E7%94%B0-%E6%98%8C%E5%85%B8/dp/4478026238

2014年12月11日木曜日

「おざ通」経営支援セミナー特集号


当事務所では、毎月、「おざ通」という通信を作成し、
お客様や関係各位にお配りしています。

もともと、お客様に事務所のことを知って頂きたいと思い、
「こみゅにてぃ通信」という名前で発行していたところ、
ジョウモウ大学等でお世話になっているマニアッカーズデザインさんが面白がって、
タイトルとロゴのデザインをご提案くださり、
平成26年8月号から「おざ通」として再スタートしました。

毎月、「前略、小澤です」や「会社を強くするワンポイントレッスン」といった小澤のコラム、
「『志』仕事の原点」という何かの番組のタイトルのようなお客様紹介のコーナー、
「スタッフ紹介」などを掲載しています。

今月号、27年1月号は、経営支援セミナー特集号として、
先日のセミナーについてまとめさせて頂きました。


ご参加いただきながらお渡しできていない方もいらしゃるので、
良かったらお読み頂ければと存じます。

2014年12月10日水曜日

『花燃ゆ』①~せっかく群馬と縁があるので

前橋市を走っていると、このような旗が目につく。




来年の大河ドラマ、『花燃ゆ』。
主人公は、吉田松陰の妹、文。

文は久坂玄瑞と結婚したが、彼は幕末の志士として、動乱の中で亡くなる。
その後、文は群馬県令(今で言う知事)であった楫取素彦に嫁ぐ。
楫取は初代県令(正確に言えば、第二次群馬県初代県令とのこと)として、
産業や文化等に功績を残す。

群馬に縁があるということで、観光やイベント等のキャンペーンが行われている。
ぐんま「花燃ゆ」プロジェクト推進委員会


楫取素彦は、吉田松陰の親友だったと言われ、
松陰亡き後、松下村塾を任されたそうだ。

松陰について書こう。

僕の松陰の思い出は小学校の頃に遡る。

小学校高学年になり、日本史を学ぶと、
尊敬する歴史上の人物は誰かという話になる。

ほとんどの子どもたちが、信長、秀吉、家康等のビッグネームを挙げる中、
僕は吉田松陰の名を挙げていた。(かわいくない。)

偉人達の伝記集を片っ端から読んでいた僕に、
「なんだこの生き方は!」と大きな衝撃を与えたのが彼だった。

そんな思いもあり、先日の高崎経済大学の寄附講座でも『留魂録』を取り上げた。

一説を引用させて頂く。

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私は三十歳、四季はすでに備わっており、花を咲かせ、実をつけているはずである。それが単なるモミガラなのか、成熟した粟の実であるのかは私の知るところではない。もし同志の諸君の中に、私のささやかな真心を憐み、それを受け継いでやろうという人がいるなら、それはまかれた種子が絶えずに、穀物が年々実っていくのと同じで、収穫のあった年に恥じないことになろう。同志よ、このことをよく考えてほしい。

『留魂録』 全訳註 古川薫(講談社学術文庫)

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ご存知の通り、松陰の「真心」は、松下村塾の志士たちに受け継がれ、
明治維新への原動力となった。

その思想のバックボーンは、『孟子』であり、『伝習録』=陽明学のバイブルである。

この辺りは、林田明大先生の『志士の流儀』に詳しい。




素彦は「至誠」をもって県政に当たったとされるが、
これは『孟子』の中の一節にある言葉だ。

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至誠にして動かざる者は未だ之れあらざるなり。誠ならずして未だ能(よ)く動かす者はあらざるなり
(誠意を尽くして事にあたれば、どのようなものでも必ず動かすことができる。逆に不誠実な態度で事にあたれば、何ものをも動かすことは決してできない)

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この「至誠」という言葉は、陽明学の「致良知」と同じ意味だ。
(長くなってきたので、この話はまたの機会に。)

最後に前出のプロジェクト関係者に提案。

せっかく群馬にご縁があるのだから、観光やイベントだけでなく、
背景にあった思想、彼らの生き方を子どもたちに伝えてはいかがだろう。

彼らの情熱はきっと子どもたちの心に届くはず。
30年前、図書館にいた僕の心を激しく揺さぶったように。

2014年12月9日火曜日

コネクティング・ザ・ドッツ

高崎商工会議所さんの取材を受けた。
来年1月発行の「商工たかさき」の記事になるとのこと。

内容は、経営者の健康についてのコラムで、
合気道についての話をして欲しいとのオファーだった。

私のような半端者が合気道を語って良いものかと思ったので、
念のため、合気道の先生方にお伺いを立て、お許しを頂いたので、
現時点で感じていることをお話しさせて頂くことにした。

今回、私を推薦してくださったのは、以前、私が商工会議所でマインドマップ講座の講師をさせて頂いた際にお世話になった方だったので、取材はマインドマップの話から始まった。

実は、3日間缶詰のマインドマップのインストラクター講座を受けたのも、
合気道を始めたのも、福岡のランチェスター経営で社長塾長講座を受けたのも、
2006年、36歳の時だったりする。

そこに至るまでに、TKC全国会創設者である飯塚毅先生の薫陶を受け、
東洋思想を学ぶ中で陽明学との出会いがあったり、
それがきっかけで、その後、林田明大先生との出会うことになった。

さらに、それが様々なことにつながり、
今、そうしたものが統合しつつある。

取材では、合気道の話から、陽明学や経営の話まで、
すべて一貫したこととしてお話させて頂いた。

誰かに質問して頂くことはありがたい。
他人の筆を通じて、どのようにまとめて頂けるのか楽しみだ。
(ご苦労をおかけします。笑)


先日の記事でも取り上げたスティーブ・ジョブズのスピーチは、
3つのテーマについて話されている。



その最初が、「コネクティング・ザ・ドッツ」、
つまり、「点と点をつなげること」。

僕はこの話が大好きだ。

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繰り返しですが、将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです。私はこのやり方で後悔したことはありません。むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います。

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昼の取材だけでなく、今夜は、毎年、忘年会をご一緒させて頂く尊敬する2人の先輩ともお話させて頂き、点と点をつなげる時間を持たせて頂いた。

現状は結果でもあり、原因、すなわち新たな縁の始まりでもある。
来年の忘年会で、どんな話ができるのか、今から楽しみだ。

2014年12月8日月曜日

「火消し生活」という人生

このところなぜか、この本のことを思い出すことが多いです。

『成功はどこからやってくるのか?』岡本吏郎(フォレスト出版・2004年)

ちょうど10年ほど前に出版された本ですが、今でも時々目を通しています。
以前、スタッフにもプレゼントしました。

今日も、ある方と話していて、この本のある一節が頭をよぎりました。
それは、「火消し生活」という部分。

そこをまとめると、こういう話です。

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いつも何かの問題解決に翻弄されている人がいる。
クレームの場合もあれば、社員の自己のこともあり、家族問題の場合もある。
とにかく、その人の周りでは事件が起きていて、彼はその火消しに追われている。

足元の火消しに翻弄されていては、何もできるわけがない。

火事と正面から対峙して覚悟を決めれば、案外、火事の消火は簡単だったりする。
しかし、それができない人にはできない。
そして、人生の火事は逃げる人を追いかけながら大きくなっていく。

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この本には、その具体例も書いてありますので、ぜひ読んでみてください。

問題が起こり続ける所には必ず同様のことが起こっている気がします。
経営者の方からアドバイスを求められる時に念頭に置くことのひとつはこれです。

自分のことはわからなくても人のことはわかると著者も言っていますが、
確かに人のことは見えるものですね。

年末に向けて、足元の火から目を逸らさずにいこうと思います。

2014年12月5日金曜日

『「活力ある企業」の条件』【経営支援セミナー2014スピンオフ】③

今回のセミナーは大きく分けて3部構成で開催しました。

【第1部】「和菓子ルネッサンス宣言」に秘めた思い 講師:㈲微笑庵 宮澤社長
【第2部】戦わない経営を考える3つのポイント 宮澤社長と小澤の対談
【第3部】実践!戦わない経営 講師:小澤

第2部の「戦わない経営を考える3つのポイント」では、
微笑庵の実例を肴に経営的な観点から語るというコンセプトでした。

ここで挙げた3つのポイントとは以下の通り。

哲学、戦略、業績管理

これは、尊敬する先輩会計人、赤岩茂先生の
『「活力ある企業」の条件』を創造的模倣させて頂きました。
(ただのマネですね。笑)



この本は、「中小企業経営のあるべき姿に関する研究会」(経済産業省関東経済産業局)が、アンケートやヒアリング調査をもとに、平成22年3月に「中小企業経営のあるべき姿に関する報告書」としてまとめたものをベースにしています。

この報告書では、活力ある中小企業のポイントとして、
以下の7つを挙げています。

1 経営理念を明確化して実践する
2 経営理念を社内に浸透する
3 自立・創造できる人づくりに取り組む
4 長期的な視点で人づくりに取り組む
5 従業員への動機づけに取り組む
6 信頼感と一体感を高める組織づくりに取り組む
7 経営力向上に取り組む

この本の推薦文を『日本でいちばん大切にしたい会社』の著者、
坂本光司教授が書いています。

(赤岩先生の)主張を要約すると、「中小企業問題の大半は、管理や方法といった経営の『テクニック』等の問題ではなく、中小企業の最大経営資源である『経営者』や、その目的・使命である『経営理念・経営哲学』に関する問題であり、これこそが中小企業の本質問題である。それゆえ、この本質問題にメスを入れ、改善・改革しない限り、我が国中小企業の未来はない…。」

こうした赤岩先生の主張は私も全くの同感です。というのは、私もかねてより、「問題には現象問題と本質問題の二つがあるが、近年の中小企業問題の大半は現象問題ではなく本質問題への対処、つまり経営者自身、とりわけ、その心と背中である…。」

(同書2~3ページ)

この本の第1章のタイトルが、
「現代の中小企業経営者に不可欠なのは『哲学』と『戦略』だ!」で、
本文の冒頭で、「多くの中小企業に欠けているもの、それは企業を生成発展させるための『哲学』と『戦略』であり、倒産させないための『業績管理』であると考えられます」と書いていて、
今回はこれを「戦わない経営を考える3つのポイント」として挙げさせて頂きました。

お客様の経営のお手伝いをさせて頂く仕事をしていて、
修己治人という言葉ではありませんが、
自分が素晴らしい経営を目指してこそ、
お客様の経営を良くする貢献ができると思っています。

私が哲学、戦略、業績管理を学ばせて頂いているのは、そんな理由です。

赤岩先生の事務所は茨城県古河市にありますが、
今年の経営支援セミナーで300人を動員したそうです(!)。

先ほどの推薦文ではありませんが、
心と背中で経営者に影響を与える姿を目標にさせて頂きたいと思います。

2014年12月4日木曜日

形のないものを相続する~税理士会寄附講座

昨日は税理士会の関係で、高崎経済大学で講師を務めさせて頂きました。

与えられた演題は、「相続税実践その1」。
相続税という以外はフリーハンドだったので、
学生さんにわかりやすいようにと考え、ストーリーを用いてご説明しました。

タイトルは、「ストーリーでわかる相続税~『僕』が伝えたかったこと」。



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定年と同時に介護事業を妻と始めようと準備していた山田一郎=「僕」が、
退職の日に不慮の事故で死亡する。

ところが、心配事があり、魂がこの世に残ってしまう。

その心配事とは、妻と長男の妻の関係、長男の仕事のこと、長女のいじめ。

遺産から考えて相続税がかかるということで、
税理士小澤がサポートして遺産分割を進める中、
「僕」の思い出を語る機会が何度かあり、
「僕」が伝えたかったことは何だろうと皆が思い始める。

そんな時に、父の本棚を整理していて、
特別に付箋や書き込みが多い1冊の本を見つける。

それが『後世への最大遺物』。
上毛かるたの「こ」に取り上げられている、
群馬県出身の偉人の一人、内村鑑三の著書。

その本には、 この世に生れて、後世へ金、事業、思想などを遺すことも考えられるが、
「勇ましい高尚なる生涯」こそが最大の遺物であろうと書いてあった。

大言壮語することなく、コツコツと真面目に働き、
家族の和を第一に、一生を送った父。

この生き方こそが「僕」が伝えたかったことではないかと気づき、
妻と長女の妻は語り合って和解、長男は父の遺志を継ぎ起業、
長女はいじめられている人を励ます仕事を目指す。

それを見て、「僕」は天国へ…。

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…という非常に使い古されたベタな展開ですみませんといった感じですが、
そんな話に相続税の計算を絡めてお話しさせて頂きました。

限られた時間だったので、若干難しく感じた方もいらっしゃったかもしれませんが、
なんとか無事に終えることができました。
ご清聴いただいた学生の皆さん、ありがとうございました、

相続税の対象になる遺産は、金額的に換算できるものです。
しかし、相続するものは、そうした形を与えられるものだけでなく、
むしろ形を与えられない生き方のようなものこそ大事ではないか。

相続税を通じ、そんな暑苦しいメッセージを大学生に伝えたいと考えました。
いわば、「僕」=山田一郎=小澤という図式ですね(笑)。

伝わったかどうかはわかりませんが、
誰か一人でも、「おわりに」の部分で挙げさせて頂いた、

内村鑑三の『後世への最大遺物』、
吉田松陰の『留魂録』、
スティーブ・ジョブズの米スタンフォード大卒業式(2005年6月)スピーチ、

の一つでも興味を持って読んで頂ければ良いなと思っています。

推薦して下さったK先生をはじめ、
このような機会を与えてくださった皆様、ありがとうございました。


2014年12月3日水曜日

創造的模倣~世界はマネでできている

本日はお昼過ぎから、高崎経済大学で税理士会の寄附講座があり、
「相続税実践その1」の講師を務めさせて頂きます。
 
学生さんの前で1時間半ほどお話させて頂きますが、
大学の大講堂でお話しさせて頂くのは初なので若干緊張しております。
 
さて、今日は「マネ」の話です。
この世の中にオリジナルなものは少なくて、
あのビートルズでさえ、マネでできていると言われます。
 
私が勝手に師と仰ぐ藤屋伸二先生は、中小企業の差別化戦略には、
「ニッチ×創造的模倣+連携」の視点が欠かせないと言います。
 
創造的模倣戦略とは、「他社の成功をひと工夫してマネする」ことです。
 
藤屋先生は自身も含めた事例を以下のように書いています。
(藤屋マネジメント研究所ブログ「ドラッカーの視点:成功を生かす」より。)
 
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たとえば、ドラッカーの『マネジメント』(ダイヤモンド社)を創造的に模倣した『もしドラ』(岩崎夏海著、ダイヤモンド社、300万部)、その『もしドラ』を創造的に模倣した本に『まんがと図解でわかるドラッカー』(藤屋伸二監修、以後はすべて宝島社、67万部超)があります。
 
その『まんがと図解でわかるドラッカー』を創造的に模倣した『まんがと図解でわかる7つの習慣』(コヴィー監修、10万部超)と『元自衛官みのり ドラッカー理論で会社を立て直す』(藤屋伸二監修、2万7千部)があります。

そして、『まんがと図解でわかる7つの習慣』と『元自衛官みのり ドラッカー理論で会社を立て直す』の2冊を創造的に模倣した『まんがでわかる7つの習慣』(フランクリン・コヴィー・ジャパン監修、40万部超)があります。

さらに、その『まんがでわかる7つの習慣』と『まんがでわかる ドラッカーのリーダーシップ論』(藤屋伸二監修、21万部超)の2冊を創造的に模倣した『まんがでわかる ドラッカーのリーダーシップ論』(藤屋伸二監修、11万部超)と続き、『まんがでわかる7つの習慣』の続編の『まんがでわかる7つの習慣2』(フランクリン・コヴィー・ジャパン監修)が現在ヒット中です。

こうしたシリーズものは、創造的模倣の成功例でもありますが、自社の成功を活かした事例でもあります。

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相続税の話をテキスト通りに講義しても、学生さんに興味を持って頂けないと考え、
今日は「ストーリーでわかる相続税~『僕』が伝えたかったこと」と題してお話しします。

顧客の視点で考えて、もし自分が学生だったら、淡々と説明されたとしても、
午後のいちばん眠い時間ですし、夢の世界に行く可能性が高いかと(笑)。

ということで、自分の人生とリンクするから共感しやすいという物語の力を借ります。
いわば、『もしドラ』や藤屋先生の創造的模倣(なのでしょうか?)。

そういえば、『磯野家の相続』なんても本もシリーズ化されてましたね。

最後にインフォメーション。

私も参加している中小企業経営者向けの経営塾、
「藤屋伸二の創客塾」のリンクです。
(私がおかしな顔で写っている写真が…。笑)
http://drucon.jp/

毎月、あるテーマに関するの宿題が出て、翌月、発表しています。
考える→アウトプットする→実践するという流れこそ、実力が付く勉強法だと思います。

2014年12月2日火曜日

「和菓子ルネッサンス宣言」に込められたコンセプト【経営支援セミナー2014スピンオフ】②

(前回からの続き)
その「彼」とは、有限会社微笑庵代表取締役 宮澤啓氏です。

微笑庵さんは、ここ数年、「ちごもち」で多くの方に知られています。


宮澤氏は私の小学校時代からの友人で、今では刺激をくれる経営者仲間です

事前に打ち合わせをさせて頂き、今回のテーマに合わせて、
彼が考えてくれた演題が「『和菓子ルネッサンス宣言』に秘めた思い」。

「和菓子ルネッサンス」という言葉が出てからの加速感を間近で見ていたので、
まさに皆様に聴いて頂きたいポイントとピッタリでした。

さて、「和菓子ルネッサンス宣言」とは何か?
これは、微笑庵さんのコンセプトを現した宣言文です。

まずはお読みください。(以下、微笑庵HPより。)

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和菓子ルネッサンス宣言
 〜先人の知恵を今に生かす菓匠を目指して〜


心から心に伝わる上質な和菓子を通して、召し上がった方に至福の微笑みをお届けしたい。そんな想いから微笑庵は生まれました。

もともと名人と呼ばれるほどの技術もなく、かといって経営的なセンスが良いわけでもなく、ただただ美味しいお菓子でお客様に喜んで頂きたいと、不器用にもがき続ける中で、たくさんの方に支えられて現在の微笑庵があります。

そうした方々のご恩に報いるためにも、和菓子店として、菓子職人として、日々の生活に潤いや豊かさを提供し、召し上がった方に感動を提供できるよう、日々精進を重ねてゆく所存です。これからもお客様に愛される和菓子店であり続けるために、ここに和菓子ルネッサンス宣言を掲げ、微笑庵が進むべき道標とさせて頂きます。

選択と集中
後世に残したい程の価値ある和菓子に集中し、あれこれ作りません。

厳選素材
原価が高いために市場にあまり出回らない希少な素材を積極的に使います。 こだわりの生産現場や生産者には積極的に会いにゆきます。

技術研鑽
技術とは神業的なものではなく、当たり前のことを地道に積み重ねる業です。 一見地味で単調な作業にこそ心を尽くし、謙虚に日々の研鑽に励みます。

鮮度追求
つくりたての美味しさを追求します。

和菓子×デザイン
日本の美を感じさせるデザインで提供します。

一期一会
おもてなしの心でお客様と接します。

温故知新
先人の智慧に学ぶこと、古典を学ぶことを大切にします。

家族経営の小さな和菓子屋にすぎない私共ではありますが、お客様、お取引会社様、そして地域の皆様にご意見やお叱りを頂きながら、少しでも成長したいと思っております。大きな夢を持ちつつ、地道に精進を重ね、日々努力してゆく所存です。
どうぞ末永くご愛顧のほど宜しくお願い申し上げます。

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以上、いかがでしょうか。

コンセプトをまとめるとこうなると思います。

<何を>
後世に伝えたい和菓子を、素材と意匠にこだわり、つくり立てでお出しする

<誰に>
そのような和菓子に特別な価値を感じるお客様

<どのように>
お店で製造して、つくりたてのうちに販売する

このようにコンセプトが決まると、やるべきこともクリアになり、
地域において独自のポジションを占められれば戦いがなくなります。

さらに、微笑庵という名前自体には、同社のミッションが込められています。

「微笑」は、仏教の「拈華微笑」(ねんげみしょう)という言葉から来ています。

拈華微笑(Wikipediaより)
インドの霊鷲山(グリドラクータ)上で釈尊が黙って華を拈(ひね)ったところ、大衆はその意味を理解することができなかったが、迦葉尊者だけがその意味を理解して破顔微笑したため、迦葉に禅の法門を伝えたという。

以上のような逸話から、
心から心に伝わる上質な和菓子で召し上がった方に
至福の微笑みをお届けすることをミッションにしています。

和菓子を売っているのではなく、
和菓子を通じて価値を売っているというのが分かります。

<つづく>

2014年12月1日月曜日

「中小企業の戦わない経営」というテーマにした理由【経営支援セミナー2014スピンオフ】①

11月21日(金)、毎年恒例の事務所主催「経営支援セミナー」を開催させて頂きました。
 
今年もたくさんの皆様にセミナーにご参加いただき、
終了後の「ちょっと早い忘年会」も併せて賑やかな場にして頂きました。
 
参加者同士で盛り上がり、本当に暖かい場にして頂き、
主催者としては、これほど嬉しいことはありません。
この場を借りて、改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
 
年に一度、お客様にお集まり頂いて、懇親をさせて頂きたいということもあり、
来年以降も開催させて頂きたいと存じます。
今後とも宜しくお願い申し上げます。
 
今日から数日、「経営支援セミナー2014」を振り返った話を書かせて頂きます。
題して、「経営支援セミナー2014スピンオフ」。
 
経営支援セミナーは、もともとTKC全国会の取り組みで、
10月~12月頃に全国の各会計事務所で、
同じテーマのセミナーを開催するということで始まりました。
 
今年から全国会の取り組みから外れ、開催は各事務所の任意になりました。
(今までも開催しない事務所は多かったのですが。)
 
我々の事務所は、この取り組みが始まった当初から開催してきましたが、
お客様の声を伺いながら徐々に形を変え、ほぼ独自の内容になっていました。
 
とは言え、何のお題もなくなったのは今回が初ということで、
実は結構プレッシャーでした(笑)。
 
そんな中、テーマを決めるのに悩みましたが、
ど真ん中直球、「中小企業の戦わない経営~百年企業に向けて」
という私が訴えていきたいテーマに決めました。
(本当は冒頭に「地方の」を付けたかったのですが、長くなるから止めました。)
 
なぜこのテーマにしたのか。
 
それは一度、ビジネスの「二元論」的な文脈を疑ってみたかったからです
 
つまり、同業者はライバル、お客様と会社の利益は反する、労使の利益は対立する、
などなど、そういう前提で経営をしていないか。
 
人口減を端緒とした外部環境の変化は言われて久しいですが、
その時と同じ文脈で経営を語っていないかという疑問の提起でした。
 
二元論でなく一元論。
ゼロサムでなくプラスサム。
戦いでなくコミュニケーション。
短期的な利益でなく長期的な利益。
 
そういう話をしたかったのです。

さらに、自分の話したい話とお客様が聴きたい話を両立し、
「そんな甘い話でいいのか?」と言われないようににするため、
身近で、かつ、強力な実践者にお話し頂きたいと考え、
今回はゲストスピーカーを迎えることにしました。
 
そして、頭に浮かんだのは、小学校からの友人である「彼」でした。
 
<つづく>